平成15年10月

 歴史を刻んだ薬に関する貴重な宝物を求めて氏家薬局を訪ね、見せていただいたのが、この2枚の看板である。現店舗の西側に接した旧店舗に、少なくとも大正時代初期から今に至るまで掛けられている。西班牙(スペイン)産天然葡萄酒の西の字が、瑞西(スイス)バーゼル社の看板に隠れて見えない。外して写真をとろうとすると紐がきれそうなので断念した。スペイン、スイスが漢字で書かれているところに、時代を感じる。
 氏家薬局は、江戸時代の末期から丸亀の薬屋の老舗で、代々喜兵衛を名乗っており、最後の喜兵衛を助けて養子になったのが、看板に見える照一氏であり、氏家チヱ子氏から数えて三代前である。照一氏は明治時代に私財を投じて丸亀の発展に尽くすとともに、日露日清戦争時代には、善通寺にあった第11師団の衛戊病院に医薬品を納めていた御用商人であった。当時としては珍しい、電話番号が22番とあるのは、夫婦円満というのでとったとのことである。詳しくは「香川県薬業史」にある。
(増井 武彦 記)